マイクロエース製C52

 前回のD51標準形に続いて1月末発売予定のD51北海道形を紹介する予定でしたが、発売が伸びたため別の機種の話をしましょう。今回は時代がだいぶ巻き戻って1926年製のC52です。
 1920年代後半には東海道山陽道の輸送はさらなる高速化と牽引力の増大を必要としており、旅客用機としては当時の決定版的な存在のC51でも能力が不足してきました。このため新機種の投入が必要でしたが、C51を上回る性能を出すためには何らかの新機軸が必要と考えられ、欧米で実用が開始された3シリンダー機に白羽の矢が立ちました。このC52(当初は8200形)はその試作機として米国アメリカン・ロコモティブ社に6台発注されました。発注されたのはエンジン部分だけでテンダー(炭水車)は国内で日立製作所によって製造されたようです。輸入後は東海道での3シリンダー機としてのデータ採取の試験走行が行われ、次の国産3シリンダー機のC53の開発に役立ちましたが、実際の運用では動輪径が小さく惰行性能が劣るなどの他に、米国製なるが所以の使いにくさもあり、旅客機としての運用は限定的だったようで、1932年には一旦全車が休車扱いとなりました。が、その後の輸送需要の増大に伴い、山陽本線の瀬野・八本末間の補助機としてD50とともに運用されました。終戦後は貨物需要が減少したため補助機としての役目もなくなり1947年に全車廃車となりました。




 模型はマイクロエース製です。マイクロエースからは改番前の8200形と改番後のC52が発売されており、C52の方は給水温め器がボイラー上に移されライトが先頭からテンダーに移設された瀬野八の補助機の状態を再現しています。個人的には実機を見た事はありませんが、模型は実機の雰囲気が良く出ているらしく、全面や側面からはアメリカ生まれの機関車の特徴が見て取れます。スケールもマイクロエース製品では珍しくほぼ1/150で作られています。個人的にもボイラー上の給水温め器周辺の配管が立体的で出来も良く気に入っております。また走行性能もかなり良く低速でのひっかかりもありません。オークションで中古で入手しましたが、中古とは思えない良好な状態で大当たりを引き当てたと思っています。