KATO C59戦後形(呉線)改「C59戦前形」

 最初の製品化の告知から37年の時を超えて発売されたKATOのC59。きっとガンガン売れているかと思ったら、意外と在庫を持っている店があったり、中古ショップに大量に在庫があり、しかも安値で販売されていたりとちょっと残念な状況です。が私にとってはC51と並んでお気に入りの機関車です。一輌では寂しいと3輌もそろえてしまいました。ただC59は基本形でも戦前形と戦後形で違いがあり、その他にもいくつかの有名なバリエーションが存在していました。そんなC59が皆同じ形態で3輌在籍していても面白くありません。KATOの品番的にも派生モデルが発売されそうな「2026-1」となっていますが、最初の出荷から約半年が経過し、しかも9月末発売までの予定品の中にも派生モデルはありません。こりゃ年内は無いなと思い、先日のエントリでチラ見せしたジャンクのマイクロエースC59戦前形のテンダーを利用して戦前形に仕上げてみました。




加工のポイントは、C59戦前形の雰囲気を出す事はもちろん、精密なKATOのエンジン部分と比べてあまり違和感がない程度の最低限のディテールを持たせる事を目的にしました。加工個所について簡単に箇条書きにすると以下の通りとなります。

  • テンダー部分
    1. 戦前形のテンダーはマイクロエースの品番:A9601のテンダーを利用しました。A9609も同じ形のテンダーですが、台車が戦後形と同じ鋳鋼台枠になっておりバリエーションとしては押しが弱い感じです(それよりもジャンクが3,000円で手に入った事の方が大きいですが)。
    2. テンダー車輪をKATO C58の黒染車輪と交換。
    3. 銀河モデルN-347BKエンドビームをテンダー台車に取り付け。
    4. テンダー車高を0.5mm下げ。
    5. テンダーライトを切除しKATOのテンダーに付いていたライトを移植。
    6. テンダー後部上面手すりを追加。
    7. テンダー前部の手ブレーキハンドルが付いていたと思われる部分に何もなかったので、ジャンクのTOMIXコキフのハンドルをもぎ取って取り付け。
    8. 再塗装
    9. 台車マウントのカプラーを切除し、テンダーボディにZゲージ用マグネ・マティックカプラーを装着。
  • エンジン部分
    1. 前部端梁にモールドされている呉線の特徴である埋込式標識灯を削除。
    2. 前部端梁部分のみ塗装。
    3. 先輪、従輪をKATO製のスポーク車輪に交換。
  • 全体
    1. 銀河モデルN-352からナンバー「C59 42」を取り付け。

上記からテンダー周りの加工について少し詳しく記します。
テンダー車高を下げる方法ですが、テンダーは左の写真の4つの黄色い○の中の突起で台車に接しています。この部分は切削する前は0.7mm突出していました。ですので、ここを0.5mm削れば概ね車高が0.5mm下がる事になります。ここの削り方ですが、プラスチックがかなり柔らかいので力を入れてヤスリで削るとあっという間に削れてしまいますので、私はヤスリを突起の上に置いて前後に動かす感じで少しづつ削ってはノギスで測るという事を繰り返しました。ここの突起部分の削り方が4点で揃っていないとテンダーが傾いたりしてしまいます。車高が下がった結果、赤丸部分の後部ステップの根元の突起が台車に当たるようになったので、ステップを切り落としてしまわないように注意して出っ張りを切除しました。
また、ここを削った結果、後部台車は台車の中央部分でテンダーが支えられる事になり前下がりになりますし、前側の台車はドローバーのクリアランスが無くなり動きが悪くなります。そのため台車の中央部分の出っ張りも削る必要があります(写真の黄色い枠の中)。





なお、削った結果、テンダー内の集電板がテンダーのウェイトと接触して、ショートしてしまうようになりました。そのためテンダーウェイトにカプトンテープを貼って絶縁しました。
その他、ドローバーに装着されている通電用の燐青銅線がテンダーを押し上げていたので、曲げ具合を調整して削った分だけちゃんと車高が下がるように調整しました。ただ、その過程で燐青銅線を折ってしまい真っ青に!というか、そんなに激しく曲げたりしたわけでもないのに燐青銅線が折れるって、ちょっとビックリしました。マイクロエースの製品はダイキャストがボロボロになったりする製品も過去にはあったようで、素材の品質が良くないのかも知れません。とりあえず急きょ0.4mmの燐青銅線を手配して通電線を新調しました。なお、ドローバーのエンジン側の部分はKATOの取り付け部分に対してぎりぎりのサイズなので、穴の周囲を削ってひっかかりなく左右に振れるように調整しました。また先の通電用の燐青銅線が前に出っ張りすぎているとやはり動きを制限しますので、これも出っ張らないように切断しておきました。
車輪はエンジン部分と合わせるために黒染車輪に交換しましたが、板台枠のテンダー台車ではあまり目立ちませんので、そのままの銀車輪でも良いかと思いますが、たまたま手元にあったので使いました。なお、KATOの新系列の蒸気機関車TOMIX蒸気機関車はテンダー車輪からの集電は車軸端から行っておりますが、マイクロエース蒸気機関車は車輪の裏にある小さなフランジから行っております。この方法はKATOの旧蒸気機関車シリーズと同じ方法ですので、C58以外でもC57、C55、D51などの旧製品のテンダー車輪やC11の従台車の車輪などが利用可能です。
 当初テンダー上部も0.5mmほど削るつもりでいたのですが、車高を下げた状態で線路に乗せてみると、テンダー上面がキャブ窓の上辺とほぼ同じ高さとなりエンジン部分との高さ関係がそんなにおかしくなかったので、そのままにしました。本来はあと0.3mm程度下げるべきでしょうけど、テンダー上部を削るとテンダーの縁取りが消えてしまいますが、この消えた縁取りをどうやって再現するかという課題が残りますので妥協しました。過去の経験からやりすぎると失敗して後悔することになりそうなので。
 先週一週間ほどチマチマと作業をし、土曜の午後と日曜日で塗装やエンジン部分の加工、ナンバープレート取り付けを行い完成にこぎつけました。ただ、個人的にやっておきたいのは、ランボード縁の白線を消したいのですが、簡単に消せる良いアイディアはないでしょうかね?
それから、スポーク先輪ですが、ご存知の通りC59のスポーク車輪は水かき付きといわれる独特の形状をしています。これを何とか再現したいのですが、こちらも良い案が浮かびません。C12の先輪の裏にプラ板を貼って穴をあけるとか、今回使ったラウンドハウスのスポーク先輪を粘性の低いレジンに漬けて引き上げ、ブロアで吹いて中央部を飛ばすと隅にレジンが残って丸い穴が開かないか・・・とか考えていますが。ワールド工芸からスポーク車輪に被せるエッチング板が過去に販売されていたようですが、そのパーツを再販売してくれませんかねぇ。
 なお、もともとKATOの戦後形の船底テンダーが余っておりまして、いま例のやつを制作中です。完成するとまたC59のバリエーションが増える事になりますのでご紹介したいと思いますが、何時になる事やら・・・。なんせこの工作で肩が凝って首筋から後頭部が痛くて痛くて(T_T)(笑)