RAID5構築時のトラブル

 9月12日にRAID5を構築した事をエントリしましたが、それに至るトラブルと構築後の事について書いてみたいと思います。

  • トラブル1:RAID5構築中に最初に直面したトラブルとしては、RAID BIOSでRAID5を設定してからしばらくすると、ドライブが1台RAIDから外れてしまい、Array criticalになってしまう事態が発生しました。発生するタイミングはランダムで、RAIDから外れたドライブはRAID BIOS上では健全なSingle Driveとして扱われているのでドライブ不良という分けでもなく、RAIDを再構築すればまたちゃんと利用可能になるので、原因が最初は分かりませんでした。ドライブとケーブルのつなぎを確認しているうちに、ケーブルと関係がありそうだという事がわかりました。それまでのWDのドライブはSATA3Gまでの対応だったのですが、Seagate ST3000DM001はSATA6G対応ドライブだったのでした。SATA6G対応のSATAケーブルを4本新たに購入してきて全ケーブルを入れ替えたところ、このトラブルは解消しました。SSDでCrucial C300導入時もケーブルのトラブルに遭遇しましたが、SATAケーブルはSATAのどの規格に対応したケーブルか見分けがつかないので、手持ちのケーブルは沢山あるのですが、総当たりで試すより新たに買ってきてしまった方が早いという事になってしまいます。これによってまたケーブルが増えてしまうわけですが、今回購入したケーブルにはSATA6G対応ケーブルと分かるように記しを付けておきました。
  • トラブル2:1の問題が解決した後に遭遇したのが、書き込み速度が何かの拍子に恐ろしく遅くなってしまう事です。CrystalDiskMarkのテスト用データの作成ですら10分以上かかってしまうようになり、テスト結果も惨憺たる結果となりました。これを解決したのは、RAIDの初期化をQuick Initializationではなく、Full Initializationで行う事でした。ま、要するにQuickで初期化するとバックグラウンドで初期化処理が行われて、その間書き込みが遅くなるというわけです。RAIDと単一ドライブのフォーマットとは処理が異なるので当然といえば当然なのですが(^^; なお、3TBドライブ x 3台のFull Initializationは24時間では終わりませんでした。また、Windows上のボリュームのフォーマットもクィックではなくフルで行いましたが、こちらも数時間かかった記憶があります。

 上記2件のトラブルの原因追究に結構な時間を要しましたが、一旦動き出してしまえば、至極安定しています。ただ、構築後に一つ問題が出ました。それはRAID管理アプリのRAIDXperが以下のようなWarningを表示する事です。

Task b0 timeout on disk (Port Number 1,Target ID 1) at LBA 0x0c24f00 (Length 0x0)

 「at LBA」に続く数字は時に変化しますがそれ以外は常に同じで、ポートナンバーからシステムドライブのSSDに関するWarningだという事が分かります。Warningの意味を調べていたところ、海外のフォーラムに記載があるのを発見しました。BIOSSATAモードをRAIDに設定してドライブを接続していて、RAIDを構築していないドライブがある場合に、RAIDXpertが定期的にこのWarningを吐き出すようです。フォーラムの質問の主はHPのPCの購入者で、HPサポートからの回答はこのWarningを無視するかRAIDXpertをアンインストールするようにという事でした(このユーザーのPCに接続されていたドライブはRAIDに設定されていなかったようです)。こちらはRAIDXpertを削除するわけにもゆかないので、このままWarningは無視し続ける事にしました。
 さてインストール後のRAIDの管理として、RAIDXpertには二つの機能が搭載されております。一つはRAIDの健全性をチェックするSynchronize機能で、もう一つは各ドライブの健全性をチェックするMedia Patrolです。

  • Synchronization:RAID5は不意のシャットダウンなどで正しくパリティが生成できなかった場合、知らないうちにデータが壊れてゆく「サイレントクラッシュ」という根本的な欠陥があります(RAID6でもこの危険性は同様です)。Synchronizationはデータとパリティを自動的にチェックし必要であれば訂正してくれる機能です。私はこの機能を毎週土曜日8:00から自動的に走るようにスケジュールしており、現在は約6時間で終了しています。
  • Media Patrol:こちらは各ドライブをセクター単位で磁性体のチェックを行う機能です。セクター単位でデータを書き込み正しく書かれているかどうかチェックし、問題がある場合はエラーを報告します(マニュアルにはありませんが、多分ドライブ側の機能で代替セクタが割り当てられるはずです)。このMedia Patrolは非常に時間がかかり30分で2%進むかどうかです。私は1週間おきに各ドライブで順番に処理が行われるように設定しており、1か月かかってRAIDの3台とスペアの1台の処理が終わるようにしています。なお、Media Patrolが走っている最中にPCがスリープや休止に入っても、復帰時に続きから処理が続行されます。

 こんな感じでマザーボードオンボードRAIDでも、速度的にも機能的にも個人ユースやスモールビジネスであれば十分な機能を有しており、取りあえずデータの冗長性を確保したい場合には良い選択肢となると思います。ただし、PC環境を変更しようとした場合、RAIDが次のシステムに引き継げなくなる事もあるので、速度が必要な場合はRAIDカードを利用し、速度(とくに書き込み速度)が遅くても良いのであれば、外付けのNASRAIDユニットを考えた方が良いでしょう。私は次には4TBドライブが1万円ちょっとで買えるようになったらまたRAIDを構築しなおすつもりです。こういった形でより大きいドライブにRAIDを構築しなおしてゆく場合、データの移行は面倒ではありますが手段はいくらでもあります。