{独言]ノーベル賞受賞者の発言に思う事

 今年は二日連続して日本人がノーベル賞を受賞する事になり、日本人としては誇らしい限りですが、それにも増して感慨深いのは受賞された先生方の謙虚な発言です。欧米人(あるいは日本人以外)なら「どうだ、俺様の偉業だ」と言わんばかりの発言をするのかも知れませんが「チームの成果です」とか、さらに今回は「微生物のおかげです」とい発言まで。どこまで謙虚なのかと思いますが、製薬メーカーに一時身を置いていた身としては、今回の偉業の素晴らしさは良く分かる分けです。メーカーの研究部門に所属していても、ピカ新と言われる全く新しい新薬を開発できる人はそう多くはありません。一生かかっても新薬を見つけられずに定年を迎える人も多くいるわけです。また、新しい有効成分を見つけられても、製品として世に送り出せる確率は非常に低いです。ですから、大村教授の成果は類稀なる偉大な業績であるわけです。それを「微生物のおかげです」と言うのはあまりに謙虚すぎるとも思うのですが、まぁそこが日本人のメンタリティなのだろうと思うわけです。またニュートリノの研究施設のスーパーカミオカンデ文科省からは一時期最低ランクに位置づけられていたようですが、今回のノーベル賞でランク付けも変わったのではないでしょうか。いずれも、諦めずに続けてゆく事の重要性を思い知らさる事例なわけですが、これは研究の世界だけでなく全てに当てはまると思います。企業経営でも短期的な視野にとらわれず、長いスパンで新しい何かを創造する忍耐力が必要ではないかと思われます。最近は新規事業を立ち上げても3年程度で判断されて、お取り潰しとなったり子会社に移換されたりしてしまうビジネスがありますが、それで良いのかという気がします。さらに言えば、日本ではバブル崩壊後やリーマンショック後の不景気の際に企業が新規採用を取りやめたりしていますが、そうやって世代の断絶があると技能やノウハウの伝承の継続性が失われたりしてしまっている企業も少なからずあります。どこかの予備校の標語ではありませんが「継続は力なり」は受験勉強だけでなく、全てに当てはまるのではないかと思います。この忙しい世の中、急がず「長い目で見る」という事の重要性をもう一度見直す必要があるのではないか・・・と会社の宴会で酔っぱらった頭で思う分けです。