久々にキワモノパーツと思われる物を購入しました。それは標題のApricorn Velocity Solo x2です。物としては2ポートのSATA3.0拡張ボードですが、接続がPCI Express x2であり、SATAの拡張ポートのうちの一つはボード上に2.5インチHDD/SSDがそのまま装着できるという事から、ちょっとキワモノ的な製品です。なおSATA拡張ポートは2つありますが、RAIDを組んだりする事はできません。基盤裏側にはPCI ExpressのブリッジチップとMarvellのSATA3.0対応のコントローラーチップ他いくつかのチップが載っているだけで、至ってシンプルな作りです。
導入には苦労するかと思いましたが、これがあっさり動作してしまい期待外れではありましたが、効果は期待した以上で大満足というところです。以下に、詳細をレポートしたいと思います。
- 導入の動機:以前にデータドライブをRAID5構成にした事はレポートしました。私のPCのマザーボードのASRock 990FX Extreme 4はAMD 990FX + SB950の構成で、SB950のSATAポートを使ってRAIDを構成しています。SB950では特定のポートだけをRAIDモードにする事ができず、そのため起動ドライブのPLEXTOR PX-256M3PもRAID設定のポートに接続する事になるのですが、RAIDモードにした事でAHCIモードよりもかなり性能がダウンしてしまいました。それでも気にしなければ分からない範囲での性能ダウンですが、色々パーツを吟味して組み立てた自作PCの場合、本来のパーツの性能が出し切れていないというのは、どうにもストレスを感じるものです。どのくらい性能が低下したかというと、以下のような感じです。左側がAHCIモードで右側がRAIDモードでの値です。
CrystalDiskMark 1000MB
AHCI mode | Read | Write | RAID mode | Read | Write | |
---|---|---|---|---|---|---|
Sequential | 492.058 | 393.757 | Sequential | 338.469 | 350.304 | |
Random 512KB | 388.555 | 387.973 | Random 512KB | 219.871 | 348.716 | |
Random 4KB(QD=1) | 27.139 | 53.986 | Random 4KB(QD=1) | 28.854 | 61.896 | |
Random 4KB(QD=32) | 174.108 | 152.754 | Random 4KB(QD=32) | 29.977 | 66.555 |
ATTO Benchではread:370MB/s、Write:350MB/sでびったりとリミットがかかるので、RAIDモードにする事でこの辺りが性能の上限になってしまうようです。Windows エクスペリエンス インデックスもAHCIモードの時は最高点の7.9だったのが、RAIDモードでは7.7に落ち込んでしまっていました。ASRock 990FX Extreme 4はSB950以外にオンボードでMarvellのSATAポートを二つ持っており、当初こちらに起動ドライブのPLEXTOR PX-256M3Pを接続する事を考えたのですが、色々と調べてみるとこのオンボードのMarvellはあまり性能が出ないようで、Marvellからの起動用のドライバーのインストールのためにOSの再インストールが必要となりそうなので、面倒なので止めました。そんな時、このVelocity Solo x2が発表されました。
- 購入:楽天市場のムラウチドットコムで予約しました。このムラウチですがリアル店舗は八王子の甲州街道沿いにあり、以前はホームセンター中心のお店でした。自分が鉄道模型にはまっていたころは、レイアウト作製のための角材やベニア、それに石膏などはほとんどここで調達させてもらいました。なじみがあるショップではありますが、実は通販で使うのは初めてでしたが、事前予約を受け付けていたのがこのお店くらいだったので、利用させてもらいました。秋葉原に出回るのとほぼ同じタイミングで届きました。
- セットアップ:取りあえずボード上にSSDを搭載せずに、まずは拡張スロットに装着してみました。ASRock 990FX Extreme 4にはPCI Express x2のスロットどころか、x4もx8も無いので、x16の一つに装着しました。電源投入するもWindows7の旗のロゴが表示された後にブルースクリーンとなりSTOPエラーの0x7Bが表示されました。それでは、という事でその辺に転がっていたSSDを搭載して試してみましたが同様の結果に。何となくオンボードのMarvell SATAコントローラーをBIOSでdisableにしてみたところ、これがビンゴで正常に起動しました。本来はこの後、起動ドライブの中身をVelocity Solo x2に搭載したSSDにコピーして起動ドライブをそちらに切り替えるという作業をする事になるのですが、楽をしようと思って起動ドライブのPLEXTOR PX-256M3PをVelocity Solo x2に搭載して電源を入れてみると、あ〜らめでたく正常に起動しちゃったではありませんか。Marvell 91xxのドライバの「Enable safely remove disk」のチェックを外しただけの状態でそのまま運用していますが、普通に起動終了できるだけでなくスリープへの入り/復帰もちゃんとできています。性能がどうなったかと言いますと、以下のようになりました。
CrystalDiskMark 1000MB
AHCI mode | Read | Write | Velocity Solo x2 | Read | Write | |
---|---|---|---|---|---|---|
Sequential | 492.058 | 393.757 | Sequential | 434.373 | 419.542 | |
Random 512KB | 388.555 | 387.973 | Random 512KB | 396.051 | 409.328 | |
Random 4KB(QD=1) | 27.139 | 53.986 | Random 4KB(QD=1) | 34.596 | 93.311 | |
Random 4KB(QD=32) | 174.108 | 152.754 | Random 4KB(QD=32) | 268.795 | 223.894 |
シーケンシャルリード以外はAHCIモードよりも高速になり、システムドライブですのでむしろランダム性能の方が重要なわけで、今回のこの結果には大満足です。ただ、オンボードのMarvell SATAコントローラーが使えなくなっているので、もしe-SATAなどでこのポートを使われている方は注意が必要でしょう。また、私はちゃんとしたインストール手順を踏んでいないので、きちんとセットアップをすれば共存させることも出来るかもしれませんが、時間もなく労力もかけたくないので、次にWindowsをクリーンインストールする機会までは、このまま使うつもりです。なお、SSDの読み書きは高速になりましたが、起動時にVelocity Solo x2のBIOSが表示されるので、トータルとして起動時間の短縮にはつながっていません。コールドブートの速度の改善目的で使用する製品では無いと思います。なお、上記ベンチマークはDiskeeper12が動いていると正しい値が出ないようなので、一旦アンインストールしてからベンチマークを実行しました。