TOMIX製C57 180号機

 C56、C50とマイナー機が続きましたが、今回はメジャーなC57をご紹介。C57はC55の増産機として製造が開始されましたが、改良箇所が非常に多くなったため別機種として誕生しました。その端正なスタイルから「貴婦人」の愛称で呼ばれていますが、シルエットはC55と瓜二つ。ぱっと見で分かる違いはスポーク動輪かボックス動輪かくらいでしょうか。軸配置は4-6-2のパシフィックで、1937年から製造が開始され国内向けには201両が、海外向けも含めると総数215両が製造されました。現役時代は四国以外の全国各地で特急、急行などの優等旅客列車を牽引しており、まさに蒸気機関車のエリートとも言えましょう。また1号機はSLやまぐち号の牽引機として有名ですし、JR東日本管内では180号機がSLばんえつ物語の牽引機として復元・利用されています。静態保存機も全国各地にあり、東京では小金井公園に186号機が、大蔵運動公園には57号機が保存されています。
 さて、模型はTOMIX製品です。TOMIXはトミーの鉄道模型ブランドですが、2001年に子会社のトミーテックに事業譲渡されました。今や日本のNゲージではKATOとTOMIXが双璧とも言える存在ですが、登場当初は安価だが荒削りの製品が多かったです。香港製のDD13を持っていましたが、今から考えるとスケールも1/150よりはかなり大きかったですし、各部の表現もかなり荒かった記憶があります。また蒸気機関車に関してはあまり積極的ではなく、過去にC57を、そして1999年には9600形を発売しましたがその9600形の出来が良くなく、その後しばらく蒸気機関車は発売していませんでした。が、2009年になって再設計されたC57 135号機をリリースして蒸気機関車戦線に復帰。その後バリエーションで1号機(SLやまぐち号仕様)、180号機(SLばんえつ物語仕様)をリリースしました。写真はその180号機です。TOMIXの戦略は静態保存されていたり、イベント列車の牽引で現在利用されていて実際に見ることができる機体を発売する方針のようで、国鉄時代の蒸気機関車を製品化するという事ではなさそうです。それはこのC57の次に発売されたC61でもイベント列車牽引のために復元された20号機を現在の姿で模型化した事からもわかります。模型は1/150で作られスタイルもほぼ完璧の出来です。KATOからもC57は発売されていますがあちらは1/140と大きめになっていますので、現時点ではTOMIX製品を選択しない理由はありません。ただ、これらの製品は流通在庫のみで、既に新品の入手は困難です。私も今回はショップ通販で中古の程度の良いもの(実質的にはテスト走行したのみのほぼ新品)を入手しました。なお1号機や135号機ではなく180号機を選んだ理由は、1号機はSLやまぐち号仕様があまりに煌びやか過ぎていた事。135号機は寒冷地仕様でキャブが密閉式でスタイル的に重く感じたからです。この製品は動力部分にフライホィールを二つ搭載した非常に滑らかな走りで、申し分ありません。ライトもちゃんと点灯しますし、KATO製品と違ってテンダー(炭水車)のライトも後退時には点灯します。さらに驚いたことにキャブの天窓の開け閉めまでできます。ただ、後付のパーツの多さにも驚きます。まぁ「模型」なのでこの程度の工作はあっても良いのかも知れませんが、特定ナンバー機なのでナンバープレートくらいは最初から付けておいてくれても良いのでは無いかと思うわけですが。前方端梁の掴み棒やエアホースは細かすぎでルーペでもないと取り付け不可能です(>_<) 個人的にはこの動力ユニットを流用してC59やスポーク動輪のC55やC51も発売して欲しいところです。