「響け!ユーフォニアム」

 アニメはほとんど見ない(でも特撮は大好き)な私ですが、この4月から毎週チェックしてるアニメがあります。それが標題の作品「響け!ユーフォニアム」です。まぁその道を経験された方はすぐに分かると思うのですが、吹奏楽を題材にしたアニメです。ユーフォニアムというのは楽器の名前です。一般の人には馴染みは薄いでしょうけど、吹奏楽に関係した事のある方は絶対に知っている楽器です。というか、この楽器、オーケストラでごくまれに使われる事はありますが、吹奏楽以外で使われることはほとんどありません。楽器の外観はチューバを一回り小さくした感じで、音域的にはトロンボーンとほぼ同等で、音色は少しトロンボーンよりメロウな感じ。主に伴奏を受け持つことが多いのですが、吹奏楽のオリジナル曲では対旋律とかで時々すごく美味しい場面を演奏したりします。その楽器がタイトルに冠された番組である以上、吹奏楽の作品以外は想像ができないという、分かる人には直球のタイトルな分けですが、それに見事に引っかかって毎週楽しみにしております。
 舞台は京都の北宇治高校吹奏楽部。前年までやる気なし吹奏楽部が全国大会を目指す過程を描いています。吹奏楽部経験者には「こんな事あったあった」と嬉しくなる話題がちりばめられていて、見ていて懐かしいです。頭の病気で失った記憶が少しづつ戻ってきているような気もしたりして(失った記憶があったかどうかも分かりませんが)。作品中の演奏は洗足学園のバンドが担当しているようで、演奏自体に「おっ!」と思わせるところもあり、番組を見た後は「俺も練習しなくちゃ」という気にさせられる事もありますが、見終わると深夜なんですよね(苦笑)。
 作品ではユーフォニアム奏者の「くみこ」とその仲間でコントラバス奏者の「さふぁいあ」と初心者でチューバ奏者の「はづき」を中心として展開して行きます。「さふぁいあ」の毎週の名言や、素朴なチューバの「ゴトウ君」の一言も楽しみですが、個人的に気になっていたのは、やはりトランペット奏者の「れいな」ですね。第8話はその「れいな」の人柄が分かるお話でした(放送は9話まで終わっていますが)。「誰かと同じという事で安心するなんて、馬鹿げてる」「出来上がっている人の流れに抵抗したいの」「私、特別になりたい。だから私はトランペットをやってる」「もっと練習してもっと上手くなれば、もっと特別になれる。自分は特別と思っているだけのやつじゃない。本物の特別になる」。凄いセリフだと思いながら、共感できる部分は非常に多いです。私も子供の頃から大勢でつるんだりする事もなく、また誰かの言いなりになることも無く。自分で考え自分のやりたいようにやってきました。まぁ単なる頑固者だったという人も居ますが・・・。彼女の言う「特別」とちょっと違うのかも知れませんが、私はトランペット奏者としてだけでなく、人間として自分の信念を持ってそれに基づいて行動できる、そういう存在を若い頃に目指していたような気がします。そうなるための拠り所の一つとしてトランペットがあった・・・。まぁ演奏者として特別にはなれませんでしたが、数々のステージ上での経験とこれまた数多くのミスの積み重ねにより、演奏だけでなく仕事の上でも大きな舞台でも物怖じしない変な度胸だけは付きましたけどね(苦笑)もちろん、その度胸の裏には練習量とか仕事の上だと十分な準備とかがあっての事ですけど。
 なお、この作品中では「吹奏楽部」を「すいぶ」と言っていますが、これだけはどうにも馴染めません。私たちの頃は「ブラスバンド」を略して「ブラバン」と言っていました。あるいは単に「バンド」とかとも言ってましたね。大学の時はリーダー部の連中は吹奏楽部の事を「バンド」と読んでいましたが、時に「スイソウ」とか呼ぶ者も居て、そんな時は心の中では「俺たち熱帯魚じゃないんだけど」とボヤイていましたが。