ロータス名称問題訴訟

 昨年F1に新規参入したチームに、ロータスの名前があることはご存じのとおりです。ロータスの名称はF1にとってはとても意味のあるものです。コリン・チャップマンによって設立されたロータス・エンジニアリングは1958年からF1に参戦。1970年後半、ブラック地にゴールドのラインのマシンカラーのJPSロータスコスワースはもっとも強いチームの一つでした。ヴェンチュリー・エフェクトを応用したグランドエフェクトカー(ウィングカー)と呼ばれるマシンを開発し、のちにF1マシンが最も美しかった時代を演出しました。また、あのセナが、そして日本人初のレギュラードライバーとなった中嶋悟が在籍したチームでもありました。チームは1994年に解散されてしまい、以後ロータスの名はF1から消え去ったのでした。一方ロータスの名前で市販車を製造・販売する会社がイギリスにあります。古い漫画の「サーキットの狼」にはロータス・ヨーロッパという名称のスーパーカーが描かれていたのを同年代の方はご存じでしょう。JPSカラーのロータス・ヨーロッパも存在しておりF1のロータスと何らかの関係があったのかも知れませんが、私には記憶も情報もありません。
 さて、昨年復活したチーム・ロータスロータスの名称の使用権を1994年のチーム解散時に管財人となった、ディビット・ハント(元F1ワールドチャンピオンのジェームス・ハントの弟)との契約で得ました。一方2011年シーズン前になって突然ルノーチームがマシンカラーを往年のJPSカラーに変更し、チーム名をロータスルノーGPに変更しました。ルノーは英国の市販車を販売するロータスグループのスポンサーを受けて、チーム名を改称し、その結果2011年には二つのロータスチームがF1に存在することになったのでした。
 F1ファンにとってはややこしい話ですし、当然当事者たちも黙ってはいないというわけで訴訟になったのですが、昨日判決が下され、結果的にロータスグループ(ルノー側)の言い分がほぼ認められたものの、チーム・ロータスロータスの名称を使用する事が認められ、結局二つのチームがロータスの名前を使用することが認められました。ロータス・グループ側はこれに不服で上告する構えを見せているようです。