SPACE BATTLESHIP ヤマト

SPACE BATTLESHIP ヤマト

 最初劇場で予告映像を見ていたときは、配役があまりにミーハーなため絶対に観ないと思っていたのですが、監督が山崎貴さんでVFXが白組という事を知った時点で一気に観たくなり、本日仕事を終わった後に新宿ピカデリーで観てきました。
 初めに、私は最初のヤマトの放送を見ていた年代ですが、コアなヤマトファンという分けではありません。二作目の彗星帝国ガトランティスまでは知っていますが、その後は全く知りません。とはいえ、最初の話がベースとなっていますのでこの映画は十分に楽しめました。特に九州沖の地表から岩盤を跳ね上げて起動するヤマトのシーンには胸が高鳴るほどの興奮でした。話によるとコンピュータ上でヤマトの実物相当のモデルを作りそのモデルが実際に岩盤を割って浮上する物理計算を行ってそれを映像にしたという事で、この映画の中でもかなり力が入っていたシーンではなかったかと思います。また、敬礼をしながら墜ちてゆく山本機や、銃を構えたまま仁王立ちで息絶えた斉藤など、随所にアニメの名シーンが織り込まれていました。VFXの見せ方も素晴らしく「カッコエエ」と心の中でつぶやくシーンが何度もありました。
 ただ、2時間程度の時間に納めなければいけないため、ストーリーはかなり端折られていましたが、最大の違いは原作では侵略者ガミラス側にもドラマがありましたが、それをバッサリ切り捨てた点(そもそもガミラス人が人類ではない)と、ガミラスイスカンダルが同じものの表と裏だったという設定でしょうか。なので、デスラーはキャラとしては存在しても宿敵、そして後の盟友となる存在としては描かれていなかった事は、このドラマの大きな魅力の一つを欠いてしまっていた思います。また、男女雇用機会均等法の関係か、原作では男性の城だったヤマトにも多くの女性クルーが乗務しており、原作で重要なキャラクターだった相原や佐渡先生も女性になっていました。特にミーくんを抱いて一升瓶を持っていたとしても佐渡先生が女性なのには最後までなじめませんでした。また、人間ドラマの部分も少し冗長感があり、地球に巨大ミサイルが落下しているのに「そんなに悠長に抱き合っていてええんかい?」と叫びたくなってしまいました。ただし、SFとしての考証面ではむしろリアル感はあったと思います。原作の死んだはずの古代守がイスカンダルで生きていた、なんていうのはちょっと突飛過ぎでしたからね。
 それから、音楽が原作と比較してかなり弱いと感じました。原作ではオーケストラの演奏によるアニメとは思えない素晴らしい音楽がストーリーを盛り上げていましたが、今回の映画では原作と同じ曲が2曲程度使われていたようですが、それ以上の物はありませんでした。
 そんなこんなで見て失敗したとは思いませんでしたが、ちょっと残念感は残ります。まぁ原作があまりの名作だったので、仕方ないでしょうけどね。